【敵意帰属バイアス】なぜか何気ない質問に切れてしまう現象
今回は、つい最近会社で体験して感じたことについてみなさんにシェアしようと思います。
どんな組織にも起こり得る現象なので、ぜひ一読して頂いて、ご自身もしくは周りの人がこの心理状況に陥っていないか確認してみてください。
私の体験
私が所属する会社で3年前に発売した商品Aがあるのですが、これが会社として最も売っていかないといけない商品として設定されました。
ちなみに私の会社ではこの商品Aと同じ用途の商品が複数あるのですが、発売当時はその他の商品を差し置いてもこの商品Aを売りなさいというながれでした。
トップダウンの会社なので、もちろん全営業マン全力投球で販売しまくりました・・・が、これが全然売れなかった。
かなり販促費もかけて他の商品を犠牲にまでしたのに売れなかった。
一方で、同じ時期にほとんど何もしなくても爆発的に売れた商品もありました。
そこで私は思いました。 どのような理由でこの商品を作ったのだろう?と。
商品発売の動機
商品を生み出す理由としては、 以下の2つが主軸にあると思います。
①お客さんのニーズを捉えて満足を与える(価格面、使いやすさ、新しい機能)
②会社の利益面や売上の改善を目的に発売(株主へ利益還元も当然ここに含まれる)
これらのどちらを目的としてこの商品Aを発売したのかと思ったわけです。
売れないまま3年経ったある日、商品開発部からメールが届きました。
「商品Aのパッケージをリニューアルします。」
営業マンからは当然ブーイングの嵐でしたけども上層部は売れ!売れ!売れ!の一点張りでした。
このとき思ったのですが、 この商品Aがお客さんのニーズに合わせて作ったのであれば、自然と売れているはずです。
冒頭で紹介した同時期に発売した別の商品は爆発的に売れたというのがそのことの証明になるのではないでしょうか。
売れないのであれば、それは市場のニーズにあっていなかったというわけです。
他方、自社利益拡大のためであって、必ずしも市場のニーズに合っていなくてもいいという考え方も苦しいながらもできそうですが、自社のメリットのために作っているのであれば、3年間も本気を出してもほとんど売れていないわけですから、その商品に注力するのはやめて他の商品に力を注ぐべきだと考えました。
敵意帰属バイアス
私は上司に聞いてみました。
この商品をそこまで力を入れて売るのはなぜでしょう?
すると、上司は半ば切れ気味に「つべこべ言わずに売れ、この商品が売れなかったらボーナスがなくなるぞ」と
答えになっていないですよね。
おそらく上司も商品発売の細かい意図まで考えていないと思いますが、 なぜこんな受け答えになるのかと考えました。
そこで行き着いたのが、敵意帰属バイアスという心理学的状況です。
バイアスという言葉は偏見みたいな意味です。
敵意帰属バイアスに陥りやすい人
敵意帰属バイアスは攻撃性の強い人に現れがちな精神状態で例えば、車を運転していて割り込まれた際に相手が自分に対して挑発をしてきたと勘違いしてあおり運転をするなど、相手の何気ない行動に対して敵意を感じやすい性格のことです。
この心理的状況というのは、抑うつ的な人や否定的な人が陥りやすいというふうに言われています。
否定的な人というのは、相手の言動や行動に対して否定的に捉えるので、「相手は自分を陥れようとしている」と、敵意を感じやすくなります。
また、敵意を感じると高圧的になったり、攻撃的になったりします。
敵意帰属バイアスによる弊害
上記の心理状態の結果、なぜそうなのですか?と聞いているにも関わらず怒ったような態度を取ることにつながります。
私の印象としては、敵意帰属バイアスに陥りやすい人というのは自信がない人にも当てはまると考えています。
自信がないからこそ自分の発言に異を唱えられると自分の意見をひたすら述べて反論の余地を無くしたり、大げさな話をしたり、都合のいいように話を解釈したりします。
敵意帰属バイアスに陥った状況では建設的な話はできず、上司部下共にストレスを感じた状態で仕事をすることにもなるため、当然生産性はガタ落ちです。
組織の利益のためにも自身の心のためにも、なんとかこの心理状況は抑えたいところです。
敵意帰属バイアスを無くすには
それでは敵意帰属バイアスを無くすにはどうすればいいのでしょうか?
目的を明確に示す
敵意帰属バイアスに陥っている時にはその人の中で目的が定まっていない場合が多いと思います。
これは本記事でも紹介した商品発売の理由とも重なりますが、プロジェクトに携わる全メンバーがその商品を発売する真の目的(建前ではなく)を認識し、疑問が出てきた場合にもそれに明確に答えられるようにしておくことが大切です。
これができなくなった途端に敵意帰属バイアスが発生してしまいます。
とはいえ、性格的にキレやすい人とかすぐにつっかかってくるタイプもいると思います。
そういう人にはどのような対応をするのがいいのでしょう?
自身を持たせてあげる
敵意帰属バイアスに陥りやすい人が後輩や部下にいた場合には自身を持たせてあげるのが効果的です。
上にも書きましたが、敵意帰属バイアスは自信のなさから出てくることが多い心理状態でもあるので、根本的に変えようと思うと自信を持たせられるような仕事の割り振りをするなどの対策をとるのがいいでしょう。
逆に上司がこういうタイプだと厄介で、自信を持たせるのはほぼ無理だと思うので、 極力返事に困るような質問は控えるということとこの人は敵意帰属バイアスに陥りやすい人なんだと自分の中で消化してしまうのが賢明ではないかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は敵意帰属バイアスという心理的状況が会話ややりとりの中での不条理を生み出すことがありますという話をさせて頂きました。
みなさんもいままでにこのような経験をされたことがあると思います。
私自身は自分がこのタイプで、上司のアドバイスを素直に聞けなかったり、すぐに反論したりしていました。
しかし、ブログや副業などを通して自信(根拠はない)をつけることで、今では上司の指摘も以前と比べると随分素直に聞くことができるようになりました。
敵意帰属バイアスから脱却して効率のいい社会人生活を過ごしたいですね。
それではまた!