【インフルエンザワクチン】予防接種についてあなたはきちんと理解していますか?
11月も下旬に近付いてきて、いよいよインフルエンザの流行する季節となりました。
今回は、今年もシーズン到来のインフルエンザの予防接種について書きたいと思います。
みなさん、インフルエンザの予防接種って毎年受けていますか?
ちなみに僕はほとんど受けていません。その理由も含めて、インフルエンザや予防接種についての知見を広めていっていただければと思います。
動画でも解説していますので、こちらも合わせてどうぞ。
目次
インフルエンザってどんなウイルス?
ワクチンの話に入る前に、まずはインフルエンザがどのようなウイルスなのかについて簡単に説明しておきます。
インフルエンザウイルスって?
インフルエンザは日本では毎年11月の下旬から翌年の4月にかけて流行を見せる季節性のウイルスで、全世界では毎年300万人から500万人が感染し、25万人から50万人の死者をだしている比較的強力なウイルスです。
インフルエンザの対策は?
このウイルスに対する対策として日本ではマスクの着用やうがいが推奨されていますが、その科学的根拠は示されていません。
事実、WHOをはじめ海外ではこれらの予防方法は推奨されていません。ちなみに厚生労働省のホームページにもこれらを推奨する記載はありません(自身が感染した際にマスクは効果的としています)。
うがいに関してですが、インフルエンザウイルスは粘膜に付着してから20分程度で感染すると言われていますので、うがいを20分以内にし続けることでもない限り、うがいは科学的に効果がないと言えます。
マスクに関してですが海外では推奨されていないので、外国人とりわけ欧米の方はマスクをしている方はほとんど見かけません。
海外の人と比べて日本人でマスクをしている人が多いのは、発信されている情報の違いによりそうです。
ワクチンについて
ワクチンとは、生物の持つ獲得免疫を利用した予防薬のようなものです。
獲得免疫についても動画で詳しく説明していますので、こちらからご覧ください。
ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの大きく2種類が存在します。
生ワクチンとは?
生ワクチンとは、弱毒化させた生きているウイルスを投与するワクチンで、細胞性免疫を誘導するため、半永久的に効果のあるワクチンです。
有名なものには、結核に有効なBCGというワクチンがあります。
小さい頃にハンコ注射をしたのを覚えているかと思います。
このワクチンは日本では生後1年以内に摂取することが推奨されています。
不活化ワクチンとは?
不活化ワクチンでは生きたウイルスではなく死んだウイルスを利用します。
中にはウイルスの抗原と呼ばれる一部だけを利用するものもあります。
この不活化ワクチンは液性免疫を誘導しますが、この液性免疫は持続期間が短く、定期的なワクチン摂取が必要になります。
インフルエンザワクチンは、この不活化ワクチンです。
インフルエンザの予防接種をしたら、インフルエンザにかかったという人がたまにいますが、ワクチンが原因でインフルエンザに感染することはありえません。
海外ではインフルエンザワクチンの生ワクチンも存在しますが、日本では認可されていないので、今回は記載しません。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンの効果についてですが、実はインフルエンザワクチンにはインフルエンザへの感染を防ぐ力はあまりありません。
これについては驚かれる方も多いかと思います。
感染を防げないならインフルエンザワクチンを打っても意味がない?と、思う方もおられるかと思いますが、インフルエンザワクチンは液性免疫であるため、
感染を抑えるというよりは発症を抑える効果が期待できます。
アメリカではインフルエンザに感染して重症化する可能性の高い高齢者や妊婦さんなどへの予防接種が推奨されています。
実際に高齢者では健常者と比較してインフルエンザによる死亡率が30倍も違うという調査報告もあります。
つまり、インフルエンザワクチンの最も重要な役割は、感染を防ぐことではなく、重症化を抑えるということです。
インフルエンザの有効率は?
成人でのインフルエンザ予防接種による予防効果は50%から60%と言われています。
予防効果は有効率とも呼ばれています。
この有効率は、1000人が予防接種をして500人から600人が感染しなくなるということではありません。
ここを勘違いしている方が非常に多いので、解説しておきます。
インフルエンザの予防効果はワクチン有効率として計算されます。
算出方法としては、
(予防接種せずインフルエンザ発病者−予防接種したインフルエンザ発病者)を、予防接種せずインフルエンザ発病者で割ったもの=有効率
です。これだと少しわかりにくので、実際に例をあげてみると、
予防接種をしなかった100人のうち30人がインフルエンザを発病、予防接種をした100人のうち12人がインフルエンザを発病した場合、この式に数値を当てはめると60%が有効率ということになります。
(30人ー12人)/30人=60%
簡単にいうと、予防接種をせずにインフルエンザを発病した30人のうち60%にあたる18人は予防接種をしていれば、発病せずに済んだよねというのが有効率ということです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、今年もシーズンが到来したインフルエンザの予防接種についてご説明させていただきました。
予防接種に関しても、しっかり意味や効果を理解して接種したいものですね。
この冬も病気に負けない健康な日々を過ごしましょう!
ではまた!