ポンサラBLOG

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筋トレをすると風邪をひきやすくなるというのは本当なのか

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筋トレをすると風邪をひきやすくなるという話を聞いたことはありませんか?

 

私自身、筋トレをした翌日などに風邪をひきやすくなると言われたことがあり、実際にハードな筋トレをした翌日に風邪をひいたので、気になって論文を読み漁ってみました笑

 

昨今の筋トレブームもありますので、皆様の参考になれば幸いです

 

動画も上げていますので、こちらも併せてどうぞ

 

 

目次

 

 

 

なぜ筋トレによって風邪をひきやすくなると言われている?

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巷で言われている筋トレによる風邪をひきやすくなる原因をまずは調べてみました。

 

筋トレによって体内でどのような変化があると言われているのかというと・・・

 

  1. 唾液中のIgA抗体の減少
  2. テストステロンの増加
  3. コルチゾールなどのストレスホルモンの増加
  4. 体液の酸性化

 

ざっと調べてみたところ以上のような原因がいくつかのサイトに記載されていました。

 

これらの現象について風邪をひきやすくなることとの因果関係について論文を調べてみたものをまとめておきます。

 

 

唾液中のIgA抗体の減少

 

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まずはIgA抗体の減少に関してです。

 

抗体という言葉は広く使われるようになってきており、名前くらいは知っている方も多いのではないでしょうか?

 

抗体について簡単に説明すると、細菌などが体内に侵入してきた際に抗体が働きかけることで細菌の活性を弱めたり、殺菌したりするという働きを持っています。

 

つまり、抗体の量が減少するとそれだけ最近の活性を弱める能力が減少し、結果として免疫力が低下することで風邪をひきやすくなるということです。

 

しかし、2010年のWalshらの研究によると、高強度の筋トレによるIgA抗体の減少は認められず、むしろαアミラーゼ活性が高まり感染を抑えるという結果が報告されています。*1; font-family: Roboto, Arial, sans-serif; font-size: 14px; white-space: pre-wrap;">https://doi.org/10.1080/026404199366226. ))

 

したがって、筋トレによるIgA抗体への影響は風邪のひきやすさには関係がないと考えられます。

 

 

 

テストステロンの増加

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次にテストステロンの増加に関してです。

 

こちらも聞き覚えのある言葉だと思いますが、もっと分かりやすい言葉で表すとテストステロンというのは男性ホルモンのことです。

 

筋トレをすると男性ホルモンが増加するというのは、直感的にイメージしやすいかと思いますが、果たして男性ホルモンの増加によって風邪をひきやすくなるのでしょうか?

 

少し古い研究にはなりますが、テストステロンによる免疫力への影響を調べた研究があったので引用します*2; font-family: Roboto, Arial, sans-serif; font-size: 14px; white-space: pre-wrap;">https://doi.org/10.1093/beheco/10.3.345. ))

 

この研究では、テストステロンが白血球の成熟化に伴い、免疫力を増強するということを報告しています。

 

また、高強度の運動によってテストステロンはむしろ減少するという結果も示しています。

 

これらの結果から考えると、筋トレによってテストステロンが増強することやテストステロン増加による免疫力の低下は両方とも誤りであることが考えられます。

 

高強度の運動によってテストステロンが減少するという結果に関しては、若干疑問が残りますが、いずれにしてもこの説は有効ではないと言えるでしょう。

 

 

 

コルチゾールなどのストレスホルモンの増加

 

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生物はストレスを感じるとコルチゾールなどのストレスホルモンを分泌することで、自信を守ろうとします。

 

高強度の筋トレも生物にとってはストレスを感じる状況であり、一般的なストレス同様ストレスホルモンを分泌することになります。

 

このストレスホルモンの中でも、最もよくその役割が研究されているものの一つにコルチゾールがあります。

 

コルチゾールは炎症や免疫を抑制する作用を持っており、薬としても使用されているほど効果の高い物質です。

 

2008年のHillらの研究によると、筋トレによって血中コルチゾールの濃度は増加することが示唆されており、筋トレの強度を増すに従ってその増加量は増大していくという結果が得られています*3; font-family: Roboto, Arial, sans-serif; font-size: 14px; white-space: pre-wrap;">https://doi.org/10.1007/BF03345606 .))

 

このことから考えると、高強度の筋トレによって増加した血中コルチゾールにより、体内の免疫力が低下して一時的に最近に感染しやすい状態になっているということが言えそうです。

 

 

 

体液の酸性化 

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最後に体液の酸性化について考えていきます。

 

筋トレをすることによって乳酸が多く産生されるという話は聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

乳酸というのは酸性の物質で、これが多く産生されると当然その環境(細胞内、細胞外液など)では体液の酸性化が起きます。

 

これら体液の酸性化と免疫についての2001年にLardnerらによって発表された研究によると、体液の酸性化は白血球の殺菌能力の低下と化学走性能力を低下すると結論づけています*4; font-family: Roboto, Arial, sans-serif; font-size: 14px; white-space: pre-wrap;">https://doi.org/10.1189/jlb.69.4.522. ))。

 

化学走性能力とは、殺菌作用を示す白血球などの細胞が細菌などが放出する物質に反応してそちらに向かっていく能力のことを指します。

 

つまり、この能力が低下すると結果的に白血球などの細胞による殺菌能力を低下させることに繋がるというわけです。

 

筋トレによる体液の酸性化も、風邪をひきやすくなる一つの要因と考えて間違い無いでしょう。

 

 

まとめ

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いかがでしたでしょうか?

 

筋トレによって風邪をひきやすくなるという話は、巷で現在論じられている一部の科学的根拠を除いてかなり信憑性がありそうですね。

 

ただし、筋トレによって風邪をひきやすい体になるというのではなく、一時的に風邪をひきやすい体内の状況が出来上がるというイメージだと考えられます。

 

長期的には筋トレによって風邪をひきにくい体になるという研究もありますので、筋トレをする際には、体が冷えないような対策を講じておくことが重要だと考えています。

 

みなさんも体調万全な状態で筋トレライフを楽しんでいただけましたら幸いです。

 

それではまた!

*1:Walsh N et al. 2010. The effects of high-intensity intermittent exercise on saliva IgA, total protein and alpha-amylase.

*2:Braude S et al. 1999. Stress, testosterone, and the immunoredistribution hypothesis.

*3:Hill E et al. 2008. Exercise and circulating Cortisol levels: The intensity threshold effect.

*4:Lardner A et al. 2001. The effects of extracellular pH on immune function.