ポンサラBLOG

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筋肉が疲労するのは乳酸が溜まることが原因ではなかった!?

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乳酸が溜まると筋肉が疲労すると言われる原因は、乳酸の蓄積によって細胞内が酸性化することによると考えられてきました。

 

学生時代に部活などの運動をしていて「乳酸溜まってきたわー」なんていうやり取りをしたことがないですか?

 

私はあります笑

 

しかし、最近の研究によると哺乳類の筋肉においては、筋細胞の酸性化は筋肉疲労にほとんど影響を与えないということがわかってきています。

 

割と昔に証明されはじめてきた知見ですが、最近まで私も含め「筋肉疲労の原因は乳酸が溜まることだ」と信じている方も多いと思いますので、筋肉疲労の仕組みと最近の知見をご紹介します。

 

 

 

目次

 

 

 

◇筋肉疲労とは何か?

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筋トレやダッシュなど高強度のトレーニングをした際に筋肉が疲れていると感じたことはありますよね?

 

筋肉が疲れると怠くなるというかなんというか、それ以上トレーニングを続けたくない!もうやめたーい!って思うあれです。

 

筋肉が疲れていることを体感することはできますが、その実態は何なのでしょうか?

 

筋肉を高強度で収縮させた際には大量のエネルギーが消費されます。このエネルギーの元となるのがATPという物質です。

 

ATPは非常に重要な物質なので覚えておきましょう!

 

大量にATPを生産し、ATPの代謝によって大量のエネルギーを生み出します。 

 

 

 

◇筋収縮と乳酸の関係

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今回の主役である乳酸に関して、筋収縮によって乳酸が発生するメカニズムと乳酸が筋肉疲労を引き起こすと考えられてきた理由を見ていきましょう。

 

◆筋収縮による乳酸の増加

 短期間に高強度で筋肉が収縮する(いわゆる無酸素運動で嫌気的な条件下で行われる運動)際のエネルギー産生方法には大きく2つあることが知られています。

 

一つ目が解糖系、二つ目がATP-PCr系です。

 

このうち、乳酸が発生するエネルギー産生方法は解糖系なので、まずは解糖系についてみていきましょう。

 

◆解糖系

解糖系は名前の通り、筋肉細胞中の糖を分解してエネルギーを産生します。

 

糖は筋肉中においてグリコーゲンという物質として蓄えられており、筋肉が収縮する際にはグリコーゲンがグルコースに分解されます。

 

そして、グルコースは多数の化学反応を経てピルビン酸という物質に姿を変えます。この化学反応の副産物?としてATPが産生される仕組みになります。

 

この反応は好気的条件(有酸素運動)ではここまでで反応が終了(厳密には水と二酸化炭素まで分解されますが)しますが、嫌気的条件(無酸素運動)においてはピルビン酸から乳酸に姿を変えます。

 

筋トレなどの高強度の運動をした際に乳酸が溜まるとはこのことを言っているわけです。

 

 

 

◇乳酸と筋肉疲労

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なぜ乳酸が溜まると筋肉疲労が起きると考えられているのでしょうか?

 

その根拠はいくつかありますが、ここではその一部を紹介しておきます。

 

乳酸は細胞中においてH+を放出します。H+は水素イオンで塩酸(HCl)などが酸性の物質であるのは、H+を放出するからであり、乳酸も酸性物質であると言えます。

 

つまり乳酸が溜まると細胞内が酸性になるということです。これをアシドーシスと言います。

 

筋肉収縮にはアクチンとミオシンという分子が働いていますが、アシドーシスによってこの結合が弱められる結果、筋収縮機能が弱まり筋肉疲労が起きると考えられていたようです。

 

乳酸による筋収縮機能の低下に関しては、実験動物レベルで検証した実験結果があります。

 

実験動物にはマウス、ラット、うさぎを使用しており、12℃から32℃までの条件下で、乳酸(酸性条件下)による筋収縮機能への影響を調べました。

 

その結果、いずれの動物の筋細胞においても低温状況では筋収縮機能に影響を与えたものの、体温に近い温度では影響がないことが示されたのです。

 

つまり、生体における体温ではアシドーシスによるアクチンとミオシンの結合力への影響はないということになります。

 

過去の研究では様々な温度環境を設定しない細胞での研究のみを行なった結果、乳酸による細胞内の酸性化が筋収縮に影響を与える可能性があると結論づけていたのではないかと推察されます。

 

そのほかの乳酸にまつわる筋収縮機能低下の 根拠に関しても同様の結果が得られたそうです。

 

 

◇乳酸以外の筋肉疲労の原因

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筋肉疲労の犯人が乳酸ではない可能性が高まってきたところで、真の犯人は誰なのかということを考えていきたいと思います。

 

筋収縮におけるエネルギー産生方法は2つあることをご説明しました。

 

そこで、二つ目のエネルギー産生方法であるATP-PCr系に着目してみます。

 

◆ATP-PCr

ATP-PCr系は、ATPとクレアチンが関係するエネルギー産生経路です。

 

クレアチンは通常リン酸と結合したクレアチンリン酸の状態で細胞内に存在しています。

 

高強度の運動をした際には、クレアチンリン酸がクレアチンとリン酸に分解されますが、この際に発生するエネルギーを利用してATPを合成します。

 

したがって、解糖系と比較すると短時間で多くのエネルギーを生産することができますが、クレアチンリン酸の量が限られているため持続力がありません。

 

◆ATP-PCr系と筋肉疲労の関係

 上でご説明したように ATP-PCr系ではクレアチンリン酸がクレアチンとリン酸に分解されることでリン酸が大量に細胞内で発生します。

 

この大量に発生したリン酸が筋肉疲労を引き起こすのではないかと言われています。

 

原理としては、筋肉が収縮する際にはカルシウムイオンが神経(シナプス)から放出され、筋細胞にカルシウムが輸送される必要があります。

 

このとき、リン酸がカルシウムと結合することで、これらの輸送を阻害しカルシウム不足の状態になるというわけです。

 

その結果、筋収縮を起こすことができず、筋肉疲労を感じるといったメカニズムになります。

 

 

 

◇まとめ 

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いかがでしたでしょうか?

 

私も中学生時代に部活に入って以来、乳酸が筋肉の疲労に関係していると思い込んでいましたが、一般的に言われていることが間違っていることもあるんですね!

 

今回の内容に関してもまだまだ研究が必要な部分もあるので、今後の研究の動向には要注意ですね!

 

ではまたあ!